タイヤの種類と構造について

タイヤの全サイズ数は2020年時点で9000近くにも達します。乗用車用タイヤだけでも、サイズ数は実に約3000あります。

ここでは、そのタイヤの種類および構造についてご説明します。

タイヤの種類

車は、用途によって乗用車や大型トラックなどに分けることができますが、同じように、タイヤも用途や装着する車の種類によって分けることができます。タイヤを大別すると以下のようになります。

 ★乗用車用タイヤ
 ★軽トラック・小型トラック用タイヤ
 ★トラック・バス用タイヤ
 ★その他(※1)

※1:その他には以下のようなタイヤが含まれます。
農業機械用タイヤ、産業車両用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、航空機用タイヤ、スクーター、荷車用のタイヤ、モータースポーツ用タイヤ

タイヤは、サイズによって違いがあります。例えば、トラック用タイヤと乗用車用タイヤでは、当然ながら外径や円周の長さが異なります。また、回転するときに路面に接地する面積やタイヤ自体の重量も異なります。

下表はブリヂストンのトラック用タイヤ(M800)と乗用車用タイヤ(NH100)のタイヤサイズの比較例です。

項目トラック用タイヤ
(BS M800)
乗用車用タイヤ
(BS NH100)
サイズ表示11R22.5 14PR195/65R15 91H
外径約1052mm約636mm
タイヤ幅約276mm約201mm
重量約52.1kg約7.3kg
負荷能力
(対応空気圧)
約2725kg
(700kPa)
約615kg
(240kPa)

乗用車用タイヤに比べてトラック用タイヤは外径やタイヤ幅、重量等が大きくなります。

なお、タイヤサイズが違っても、タイヤが果たす基本的な役割は同じです。タイヤの役割について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

ただし、乗用車用タイヤが主に舗装された路面を走るのに対し、例えばトラック用タイヤは長距離路線トラックやダンプカー等、車の種類や用途により舗装路用悪路用等に分かれています。

タイヤの構造

タイヤの基本構造

内部に空気を充てんしたタイヤは、荷重や外部からの衝撃に耐えながら回転を続けます。この時、タイヤは重量や圧力を受け止めるとともに、空気漏れを防いだり、熱を発散したりといった働きを同時に続けます。これらの働きを全うするために、タイヤの内部は大変複雑な構造になっています。

下図に乗用車用ラジアルタイヤの断面構造を示します。タイヤの構造はトレッド部、ショルダー部、サイドウォール部及びビード部に大別されゴム層、ベルト、カーカス、ビードワイヤーなどの部材で構成されています。

①トレッド部
カーカスを保護するとともに、摩耗や外傷を防ぐタイヤの外皮です。表面にはトレッドパタンが刻み込まれており、濡れた路面で水を排除したり、駆動力・制動力が作用した際のスリップを防止したりします。

②ショルダー部
厚いゴム層でできており、カーカスを保護するとともに、熱の発散を促進するためのえぐりが設けられています。

③サイドウォール部
タイヤが走行中、最も屈曲が激しい部分。路面に直接接触はしませんが、カーカスを保護する役目ももちます。また、タイヤサイズ、メーカー名、ブランド名などが表示されています。

④ビード部
カーカスコードの両端を支持し、タイヤをリムに固定します。

⑤ベルト
ラジアル構造のトレッドとカーカスの間に円周方向に張られた補強帯です。カーカスを桶のたがのように強く締め付けて、トレッドの剛性を高めています。主にスチールコードを使用しています。

⑥カーカス
タイヤの骨格を形成するコード層の部分です。タイヤの受ける荷重、衝撃、充填空気圧に耐えてタイヤ構造を保持する役割を持っています。

⑦ビード(ビードワイヤー)
高炭素鋼を束ねた構造になっています。

ラジアル構造・バイアス構造

タイヤは構造の違いで大別すると「ラジアル構造」と「バイアス構造」の2種類になります。下図はラジアル構造とバイアス構造の断面図になります。

ラジアル構造(ラジアルタイヤ)

カーカスのコードがタイヤ円周に対して直角、つまり真横から見るとタイヤの中心から放射状(ラジアル/radial)に配列されています。さらに、タイヤが設置する部分はベルトで強く締め付け、補強されています。ラジアル構造のタイヤをラジアルタイヤと呼びます。

バイアス構造(バイアスタイヤ)

カーカスを構成する何層かのコードが、タイヤの断面方向に対して40°~50°の斜め(バイアス/bias)の角度で互い違いに張り付けてあります。さらに、それをブレーカーで締め付けています。バイアス構造のタイヤをバイアスタイヤと呼びます。

現在、乗用車用タイヤのほとんどはラジアル構造を採用しています。また、トラック・バス用タイヤもラジアル構造が主流です。

なぜかというと、ラジアルタイヤの大きな特徴は、ベルトで補強したトレッドの剛性の高さとサイド部のしなやかさにあります。これにより、

 ①耐摩耗性が良い

 ②発熱が少ない

 ③コーナーリングやブレーキ時の操縦安定性がよい。

 ④転がり抵抗が小さく、燃費が節約できる。

 ⑤高速耐久性に優れる。

などの面でバイアスタイヤにはない数々のメリットがあります。

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